刑を満期で出るものと、仮出所ででるものー自立更生センターのこと
「自立更生(促進)センター」の設置の反対運動が起っている、と1月10日の6チャンの6時台の特集番組でやっていた。
自立更生センターとは、聞きなれない言葉だが、「身寄りの無い刑務所からの仮出所者を一定期間(3ヶ月程度)居住させ、社会復帰を促す国(法務省)が初めて直営する施設だそうだ。
仮出所者を社会復帰するまで世話するのは、いままで、民間の更生保護施設が、委託を受けてやっている。全国に100を超える施設があるが、それだけでなく、国が直営でやり始めるには、入所者数の増大とともに、出所者が増えていく中での問題があるからだ。
刑期を満期で出て行く人と、途中でも、成績がいいものは仮出所を認められて、身寄りのないものは、更生保護施設に入りながら、保護司のもと、社会復帰へ向けて、準備して出ていくケースがあるのだが、再犯率が、満期で出ていく人と、仮出所していく人とを比べると、満期で出て行く人の方が、仮出所で出ていく人より多いということだ。6割と4割の差。
満期の人がなぜ、6割と多いのか。仮出所の人の方がすくないのか。
番組では、満期で出てきた身寄りのない人を追った。
どういうわけか、所持金は数1000円しかない、と報道されていた。出所時にあまり持っていなかったのだろう。これでは、もうどうしょうもない。身寄りもない以上、住むところも確保されない。すぐホームレスだ。住所不定者に当然職業にもつけない。あっちこつち、ふらつきながら、更生保護施設にもいくが、仮出所者で満杯で入所できない、と断られる。結局行き場がない。路上の片隅で、横になるしかない。
この先は、私でも十分予想できる。ホームレスをつづけるか、かっぱらいをやって捕まるか。刑務所にいた方がましだった、となる。
そういえば、以前、年とった出所者がすぐ軽犯罪を犯して、刑務所に舞い戻るケースが多く、刑務者が満杯状況である、という報道をみた。
つまり、満期で出て行く人には、セーフティーネットがまったくない、ということだ。(何が日比谷公園の派遣村にきたホームレスを思い出す。)
これでは、再犯率が高くなる。仮出所者は、社会に出るまでのサポートがある。だから、再犯率が低くなる。
それで、国では、仮出所者を多くしよう、というわけだ。
今度の自立更生センターには、ハローワークと連携して雇用を斡旋したり、特定問題(薬物依存、性的嗜好性、暴力的性向など)を抱えた仮出所者について専門的な処遇プログラムを施し、更生と再犯防止をする、という。(まずは、福島、京都、福岡の3都市に設置し、その後は全国展開を目指す。福岡の施設は、2007年度に着工、2008年度に運営開始の予定。)
では、なぜ、住民からの反対運動が起っているのか。
設立趣旨には賛同するが、予定地が小学校に隣接している、という理由だ。
仮出所者は、更生している率は高いが、4割は再犯している。
しかも、全国の保護観察者の内、1400名が行くへ不明という。そして、その保護観察者によって、毎年20人弱のひとが殺されている、という。
その仮出所者の施設が小学校の隣りに来るなんて、とんでもない。もし、登校時に何かあったら。
毎日、付き添わなくてはならない。買い物も一人では行かさせられない。この街にいたくない、出て行かなくてはならない、と。
番組では、うまくいっている例も挙げている。
それは、北海道の少年の自立更生センターで、少年たちは毎日牧場の仕事をして、牛の世話をしている。地域の婦人のボランティアの人とも交流している。
会ってみれば、素直な子供たちで、意外だった、という。誤解が解け、支援が地域で広がり、二十歳の満期になって卒園していく子が、地元に入って、働いていくことを地域のみんなが引っ越しの手伝いとか、家財道具の支援など、応援しているところで、終わっている。
対象者が少年、ということはあるが、成人の場合は、どうだろう。
反対運動の論理は、小学校の隣接地では、危険、ということである。
仮出所者が危険、というのはレッテル貼りに近いが、理想論ではかたづかない。やはり、4割は再犯する、というのは現実だ。
わたしは、もう少し、距離を置いた方がいいと思う。
地元の人の理解と協力なくして、順調な社会復帰はおぼつかない。人間関係は、家庭でもそうだが、適度な距離を保てる空間が必要なのだ。
北海道の順調さは、距離があるという条件が入っているのではないか。
福岡の場合、いままでの保護観察所を利用するらしいが、しっかり予算をとって、地域住民の理解を得ながら新設してほしい。
それが、これから入る仮出所者にとっても、うれしいことなのだから。まわりの人とぎくしゃくした関係では、うれしくないのだ。
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